小平アートプロジェクトってどんな活動!?~インタビュー篇~ 観光文化
アートが地域を変える⁉︎
各地域で熱を帯びる「アートプロジェクト」
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を皮切りに、
今や札幌から種子島まで全国で芸術祭が開催されています。
さらに、アートによるまちづくりも活発で、小平市にある武蔵野美術大学では、
1999年から3年計画で始まった「神山アーティスト・イン・レジデンス」に関わり、
その後も16年間、神山町のある徳島県で地域の人々とアート活動を続けてきました。
そんなあつ~い状況を目にして、小平市民はきっと思うはずです。
小平市には、アートプロジェクトはないの?と。
あるんです!できたんです!
小平アートプロジェクト―始動。
小平ふるさと村で
展示会+ワークショップも開催
2017年、同大学芸術文化学科、小平市文化振興財団、小平市中央公民館主催で、
「小平アートプロジェクト」が始まりました。「小平アートプロジェクト」では、
同公民館の講座「ジュニア大学」を受講した子どもたちが、
「小平ふるさと村」を活動の拠点としながら小平について学び、
現代美術家の武藤亜希子さんや芸術文化学科の学生と一緒に作品を作りました。
イベントは11月25~29日に小平ふるさと村で開かれます。
期間中は展示が行われ、11月25・26日にはワークショップも開催され、ジュニア大学の内容の一部を体験できます。イベント詳細は下記をご覧ください。
↓
アートが素晴らしいのは、作品が持つ力やインパクトだけではありません。
「小平アートプロジェクト」では、むしろ“作品を仕上げるプロセス”を大切にしています。
小平市内のどんな地域資源に目をとめ、作品にしていくか
――その過程すべてがプロジェクトになっているのです。
ワークショップの具体的にはこんな活動♪
小平用水路をテーマにした、現代美術家の武藤亜希子さんが行った「つなげてあそぼう水のみち」のワークショップを例に、その過程を説明します。
ワークショップの
1回目は「水の色ってどんな色?」をテーマに、絵の具を使って工夫しながら、子どもたちが思い思いの
水の色を作りました。
紙をいくつかのパーツにカットし、裏に色紙や布を貼ってコラージュしました。
2回目は「大きな紙で作ってみよう」をテーマにグループになって
大きな紙に線を引いて前回作った水の色を塗ったりしました。
これも、ハサミでパーツにカットしてコラージュしていきました。
3回目は「つなげてみよう!」ということで、
前回までに作ったパーツをつなげて小平の用水路をイメージした水のみちづくりにチャレンジしました。
武藤亜希子さんのワークショップに続いて、
次は学生のたちの出番。学生たちは、小平を深く知る過程で、地域の魅力をテーマにした複数のチームに分かれ、
直売所・郵便・小平ふるさと村(マップづくり)・くらしと光をテーマにして作品を子どもたちと共に完成させていきました。
そして、当日行われるワークショップでは小平ふるさと村のイベント時だけで使用できる通貨「だいら」札も登場!
なんだかワクワクしますよね。
そこで、もっと「小平アートプロジェクト」について知りたいと思い、この活動をけん引してきた同大学の米徳信一先生と是枝開先生にお話しを伺ってきました。
武蔵野美術大学・米徳信一先生と是枝開先生へインタビュー!
――小平アートプロジェクトが始動したきっかけは?
武蔵野美術大学芸術文化学科では「人」と「作品」をつないだり、
地域に場をつくったりすることに主眼を置き、プロジェクト型授業を実践してきました。
2016年に徳島県神山町で16年間行ってきた「神山アートプロジェクト」が一段落し、
このノウハウを生かして地元で活動してみたいと考えていたところに、中央公民館と小平ふるさと村に、声をかけさせてもらいました。
――手ごたえはありましたか?
すごくありました。今までは外ばかり見ていましたが、
地元・小平を調べてみるといろいろなことが分かってきて、
大きな学びとなりました。普段生活している場所を勉強することでイメージも膨らんでいきます。
――子どもたちや学生の様子はどうでしたか?
参加してくれた子どもたちは学校では学べないことを学ぼうという意識が高く、積極的です。
現代美術家の武藤さんも加わり、自主的に活動してくれました。
作品を作るときに交わされる会話を聞くとおもしろいですよ。
学生にもいい影響を与えてくれました。子どもたちがやわらかい思考でどんどん造形していく姿を見て、
観念的にものを造形していくわけではないということを学び取っていました。
それに、子どもたちを引っ張ってプロデュースしていかなければならないわけですから
、自覚が生まれ、1年でだいぶ成長しました。
――学生はどんなことを学び取っていましたか?
小平のことを学び、小平の何がおもしろいかを考えるうちに学生たちにテーマが生まれ、
例えば、グリーンロードに注目したチームは
拾ってきた小枝を使ってアクセサリーをつくるということで、色を付けてみたら
原始的なアートを彷彿させるような作品になったりして
学生たちに自発的な発見があり、作りながらさらに学んでいきました。
――アートが果たす役割は何だと思いますか?
いろいろな美術の形があっていいと思っています。
美術館で絵を観賞するだけではありません。
イベント限定の地域通貨「だいら」札を使って、アートを売るということも試みました。
また、お客さんは作品を買うだけでなく、
ワークショップで作品を作って売ることもできます。
アートはコミュニケーションツールにもなるのです。“作る”ことを目的に置くと、
それが接着材になって「人」や「こと」が引き寄せられていきます。
アートを学んでいる学生はやわらかい発想があるので、
そのなかから生活の知恵として学び取れることもあります。
そして、美術のおもしろさは自分の中で深めていく部分と外に広げていく部分があり、
それを自覚的に行うことで、もっとアートを楽しむ幅が広がっていきます。
「小平アートプロジェクト」に参加した子どもたちや、
来てくれたお客さんが中心になって、友達や知人に広げてくれると、
これからもっと楽しくなっていくと思います。
この記事を書いた人
こだいら観光まちづくり協会さん